マーケティングコミュニケーションコラム
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ブラウザプッシュ
こんにちは。WEBCASシリーズのマーケティングチームです。
今回のテーマは「Webプッシュ通知について」です。
Webサイトにアクセスした際、通知の許可を求める表示を見た経験はないでしょうか。Webプッシュ通知やブラウザプッシュ通知といわれるこの手法は、コストパフォーマンスに優れたデジタルマーティングツールとして注目されています。
また近年では、サードパーティーCookieの利用制限に伴いリターゲティング広告が配信できなくなる事態に備え、Webサイトに再訪を促す代替手段としてプッシュ通知の利用を検討する企業も増えています。
この記事では、Webプッシュ通知が必要とされる背景や基礎的な仕組み、メリット、導入にあたっての注意点などを紹介します。
はじめに、Webプッシュ通知の概要や利用シーンについて解説します。
Webプッシュ通知とは、Webブラウザを経由してPCやスマートフォンにプッシュ通知を送信する機能です。ユーザー側は一度「通知を許可」すれば、能動的なアクションをしなくても情報を受け取れます。Webプッシュ通知を許可する際には、メールアドレスなどの個人情報の入力は必要ありません。
Webプッシュ通知が届く際のイメージ(PCの場合)
Webプッシュ通知が届く際のイメージ(スマートフォンの場合)
Webプッシュ通知は、JavaScriptを使ってブラウザ上で通知を送信できる「Web Notifications API」の仕組みを利用しています。Webプッシュ通知が組み込まれたWebサイトにアクセスしたユーザーは、ポップアップ表示で「通知の可否」を選択します。通知を許可したユーザーには、新商品の発売開始やオウンドメディア上でのコンテンツなど、さまざまな情報の配信が可能です。
一度Webプッシュ通知を許可したユーザーに対しては、Webサイトを表示していなくてもバックグラウンドでプッシュ通知できる点も特徴です。この機能は、「Service Worker」という仕組みによって実現されています。ユーザーがWebサイトに訪れたタイミングだけではなく、任意のタイミングで情報を配信できることが大きなメリットです。
Webプッシュ通知は、企業からユーザーにさまざまな情報を提供する際に利用できます。代表的な利用シーンは以下のとおりです。
ここでは、Webプッシュ通知の必要性や、求められる背景について紹介します。
インターネットやスマートフォンの利用が進み、BtoCのみならず、BtoBにおいてもWebを利用した情報収集や購買行動が一般化しました。こうした状況のなか、企業が持続的に成長するためには、デジタルマーケティングへの取り組みが欠かせません。
メールマーケティングやSNS、各種Web広告、SEO、動画マーケティングなど手法は多岐にわたりますが、今改めて注目を集めているのがWebプッシュ通知です。
昨今、Webサイト上のユーザー行動を追跡するサードパーティーCookieがプライバシー保護の観点で規制対象となっており、この仕組みを利用したリターゲティング広告の利用にも大きな影響が出ています。そこで、サードパーティーCookieに依存しないマーケティング施策の一つとして、Webプッシュ通知の人気が再燃しています。
2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、事業者が守るべき責務や法令違反に対するペナルティは増加の一途をたどっています。Webプッシュは、個人情報の取り扱いに対する検討自体が不要な点がメリットです。
近年では、ビジネスにおいて顧客ロイヤリティの向上が重要視されています。商品・サービスの選択肢が増えたほか、消費者が容易に情報を収集できるようになった状況下では、いかにして自社を選んでもらうかが重要です。選ばれる企業となるためには、自社のファンを増やし、いわゆるお得意様になってもらう必要があります。
Webプッシュ通知を活用すれば、定期的に自社の新商品や最新の取り組みなどの情報を発信できます。顧客との接点が増えることで、顧客ロイヤリティの向上につながるでしょう。
Webプッシュ通知のようにプッシュ型で情報を発信する方法として、メール・SNS・スマートフォンアプリによるプッシュ通知などが挙げられます。以下では、これらの手法とWebプッシュ通知を比較します。
メールマガジンも、企業が狙ったタイミングで情報を提供できる手法です。メールという媒体を活用するため、文字数の制限が少ないほか、画像などを利用したリッチなコンテンツを提供できるメリットがあります。
一方で、個人情報を取得するハードルがあることに加え、多くの企業が取り組んでいるため、ユーザーに開封してもらうためにはさまざまな工夫を凝らす必要があります。大量のメールが日々届く状況においては、読者の心を動かすメールでなければ開封されづらいという課題があります。
Webプッシュ通知は、メールと比べて伝えられる情報は限られるものの、参入している企業がまだ少ないため、開封率が圧倒的に高い点がメリットです。また、デメリットである情報の伝達量についても、Webプッシュ通知では簡潔に情報を伝えつつ、詳細はリンク先などに掲載することでカバーできます。
TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSもプッシュ型の情報発信手法であり、顧客ロイヤリティを高める手法として多くの企業が活用しています。顧客にSNSをフォローしてもらえれば、企業の情報を手軽に受け取ってもらえるでしょう。
SNSとWebプッシュの大きな違いは、情報の受け取り方です。多くのSNSではタイムライン型で情報を受け取りますが、SNSを開くタイミングによっては情報が流れてしまうこともあります。一方で、Webプッシュ通知は、PCやスマートフォンにメッセージがリアルタイムに表示されるため、見逃しにくい点が特徴です。その場で通知を確認しなくても、あとから通知センターに貯まったメッセージを閲覧できます。
スマホアプリを介してプッシュ通知を行うこともできます。Webプッシュ通知と同様に、スマホアプリからのプッシュ通知もデジタルマーケティング施策として有効な手法です。
プッシュ通知だけではなく、顧客情報の収集やタッチポイントとしての活用など、幅広いマーケティング施策に役立つスマホアプリですが、インストールしてもらうハードルが高い点がデメリットです。スマートフォンユーザーは利用するアプリの数を最小限にとどめる傾向があり、新たなアプリをインストールしてもらうことはかなり困難です。ある調査※では、スマートフォンユーザーが端末にインストールするアプリの数は平均で19.3個という結果も出ています。
SNSやメール、マップアプリなど、多くのユーザーがインストールするアプリの存在も考慮すると、その門戸はかなり狭いと考えられます。一定のロイヤリティがある顧客でなければ、インストールする確率、もしくはアプリを削除されずに継続利用する確率は低いでしょう。
Webプッシュ通知であれば、顧客にアプリのダウンロードを促進する必要がありません。また、PCにプッシュ通知を届けられる点も大きなメリットです。
※参考:MMD研究所「2022年版:スマートフォン利用者実態調査 第2弾」
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2163.html
上記で他の手法と比較した結果を踏まえつつ、ここではWebプッシュ通知のメリットを整理します。
Webプッシュ通知を送るためにユーザーが行う操作は、ポップアップ表示に対して許可を選択するだけです。メールアドレスの登録やスマートフォンアプリのインストールは不要なため、登録までの障壁が比較的低い手法といえるでしょう。
上述のとおり、メールマガジンなどと比較して開封率が高いこともメリットです。せっかく登録してもらっても、ユーザーに情報が届かなければ意味がありません。ユーザーの目に触れやすい形で情報を提供できるWebプッシュ通知を活用することで、施策の効果をより高められます。
なお、当社が行った調査では、Webプッシュ通知はLINEのプッシュ通知と比較しても開封率が高いことが明らかとなりました。LINEのプッシュ通知開封率が平均40%であるのに対し、Webプッシュ通知は平均73%となっています。
LINE | ブラウザプッシュ | |
---|---|---|
許可(お友達)促進 | 登録促進にはインセンティブ必須 | インセンティブなしでも登録数が増える |
許可数 | 11,383人(7年間) | 9,623件(9ヶ月間) |
開封率 | 平均40%(最大51%) | 平均73%(最大91%) |
クリック単価 | 96円/1クリック | 7円/1クリック(92.7%削減) |
費用 | 3,437,139円
※2023年6月価格改定後、3,842,139円 |
135,000円(96%削減)
※LINE同様11,383人に対し9ヶ月間運用したことを仮定したシミュレーション |
顧客ロイヤリティを向上させるための手段として活用できる点もWebプッシュ通知のメリットです。Webプッシュ通知を経由して、サイトへの訪問や商品ページへのアクセスなどを促すことで、顧客の自社に対する認知度を高められます。顧客への情報提供を継続し、顧客ロイヤリティを高めていけば、顧客の解約防止や生涯顧客価値(LTV)の向上にもつながるでしょう。
Webプッシュ通知は、比較的低コストで導入できます。利用するサービスにもよりますが、初期費用が不要、もしくはほとんどかからないサービスも多く存在し、Webサイトへの導入も容易です。また、配信単価なども安く設定されており、コストを抑えた運用が可能です。
多くのメリットがある一方で、Webプッシュ通知にはデメリットも存在します。以下では、Webプッシュ通知のメリットを整理します。
Webプッシュ通知は、ユーザーの目につきやすい形で配信されます。これは開封率の向上につながる一方で、ユーザーが必要としない情報を多く配信すれば、すぐに解除されてしまいます。
不要なWebプッシュ通知の実施によって、顧客が不快感を抱くことも想定されます。顧客ロイヤリティが逆に低下してしまうリスクも考慮し、配信内容には十分に注意しなければなりません。
特に日本ではiPhoneのユーザーも多く存在しますが、現時点ではiOSにおいてWebプッシュ通知を利用できません。
ただし、2022年にAppleより「2023年中」のWebプッシュ通知対応が発表されました。また、2023年2月に公表されたiOS16.4のベータ版では、Webプッシュ通知の対応が始まっています※。
今後、iOSでもWebプッシュ通知が実現できる環境が整っていく可能性があります。
※参考:Web Push for Web Apps on iOS and iPadOS
https://webkit.org/blog/13878/web-push-for-web-apps-on-ios-and-ipados/
さまざまなメリットがあるWebプッシュ通知ですが、Webプッシュ通知でPVや売上、顧客ロイヤリティの向上を図っていくためには、その使い方が重要です。具体的には、どのような点を意識すればよいのでしょうか。
たまたま訪れただけのWebサイトにおいて、何の説明もなく「通知を受け取る」というポップアップが表示された経験はないでしょうか。このような許可の取得方法では、ユーザーが「何の許可を聞かれているのか」「どのような情報を受け取れるのか」を理解できず、不信感を与える原因となります。
Webプッシュ通知の許可を取得する際には、たとえば以下のように「ユーザーにとってどのようなメリットがあるのか」「どのような情報が発信されるのか」など、ユーザーが許可しやすい情報を提供しましょう。
また、許可の取得タイミングについても、ページを表示してすぐではなく、記事を読了したタイミングやアカウントにログインしたタイミングなど考慮が必要です。読者が記事を読み終えたタイミングに設定する場合は、Google Tag Managerなどのタグ管理ツールやWebプッシュ通知システム側にスクロールトリガーを仕込んだうえで、スクロール量に応じて許可ダイアログを表示することで実現できます。
過剰な配信・過小な配信は、どちらもWebプッシュ通知の効果を弱める原因となります。
過剰な配信を行うことで、どんなに有用な情報であっても、情報量の多さからWebプッシュ通知の配信許可を解除されるおそれがあります。過小な配信では、Webプッシュ通知のメリットを活かすことができません。どのような内容を、どのような頻度で配信するかは、Webプッシュ通知施策の成功可否を決める重要な要素となるため、十分な検討が必要です。
ある調査※では、プッシュ通知の配信頻度が週に2~3回のとき、比較的高い表示率となることが明らかとなりました。本調査はEC機能を持ったスマートフォンアプリのプッシュ通知に関する調査ですが、Webプッシュ通知においても同様の傾向があると考えられます。取り扱う商品・サービスや、顧客の特性などによっても適切な配信頻度は異なりますが、一つの目安としてみてはいかがでしょうか。
※参考:【Yappli×WACUL共同研究】アプリで売上を伸ばすベストプラクティスを発表〜ECアプリ32種、81万人の行動、約3,500のプッシュ通知データを分析〜
https://wacul.co.jp/lab/yappli_apps_best-practice_report/
最適な配信頻度・配信内容をすぐに見極めることは容易ではありません。そのため、配信頻度や配信内容は継続的にブラッシュアップしていくことをおすすめします。
たとえば、テストの実施も一つの方法です。配信頻度を最適化するために、複数日かけて時間帯を変えて配信してみたり、アイコンを変えて反応率を確認したりします。よりよい結果が出た方法を採用することで、Webプッシュ通知の効果が高まるでしょう。
また、配信内容の精査も重要です。ユーザーにとって不要な情報を配信することは避けなければなりません。上述した調査によれば、クーポンやポイントの付与など金銭的メリットがある情報は表示率が高く、新着商品の情報は表示率が低いというデータが出ています。加えて、開封率やリンククリック率などを測定できるようであれば、参考にしてもよいでしょう。
この記事では、Webプッシュ通知が必要とされる背景や基礎的な仕組み、メリット、導入にあたっての注意点などを解説しました。Webプッシュ通知はデジタルマーケティングとの相性がよく、汎用性も高い点が魅力です。一方で、拒否されてしまうと一切の通知が送信できないため、内容やデザイン、タイミングなど、さまざまなチューニングを施しながら運用していく必要があります。
Webプッシュ通知を実施する際は、自社単独で行うよりも、専業のベンダーからノウハウを得ながら運用していくことも一案です。当社では、10,000社以上が採用するコミュニケーションシステム「WEBCAS」シリーズや「WOW engage」の提供を通して、企業におけるコミュニケーションの課題解決を支援しています。Webプッシュ通知の活用にお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。
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